旧国名

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旧国名(きゅうこくめい)は奈良時代から明治時代初期まで使用された行政区分である。「旧国名」は明治時代以降の通称であり、正式には「令制国」または「律令国」という。

沿革[編集]

令制国の成立は、大宝律令が制定された701年頃に正式に定められた「六十六国」がある。大宝律令の制定時点では東北の一部、北海道は組み入れられていなかったが、天武天皇の時代に五畿七道が成立したと言われる。905年(延喜5年)に定められた『延喜式』により、畿道(京都周辺の畿内五か国と地方七道)、国郡(壱岐・対馬の2島を含む68か国、590余郡)が定められた。

明治維新となり、1868(明治元年)に陸奥国が5ヶ国、出羽国が2ヶ国に分割され、1869年(明治2年)に北海道(11ヶ国)が新設され、五畿八道となった。

旧国名一覧[編集]

時代により、国名は異なることがある。

旧国名 読み 都道府県
蝦夷 えぞ 北海道
陸奥国 むつ 青森県岩手県宮城県福島県、(一部、秋田)
出羽国 でわ 秋田県山形県
武蔵国 むさし 埼玉県東京都、神奈川県東部
相模国 さがみ 神奈川県
伊豆国 いず 静岡県島嶼部は東京)
駿河国 するが 静岡県
遠江国 とおとうみ 静岡県
安房国 あわ 千葉県
上総国 かずさ 千葉県
下総国 しもうさ 千葉県、茨城県南西部 (一部、東京、埼玉)
常陸国 ひたち 茨城県
下野国 しもつけ 栃木県(一部、群馬)
上野国 こうずけ 群馬県
三河国 みかわ 愛知県
尾張国 おわり 愛知県
美濃国 みの 岐阜県、(一部、愛知)(律令初期は木曽を含む)
飛騨国 ひだ 岐阜県
信濃国 しなの 長野県、(一部、岐阜)
甲斐国 かい 山梨県
越後国 えちご 新潟県(律令初期は庄内を含む)
佐渡国 さど 新潟県
越中国 えっちゅう 富山県(律令初期は新潟県頸城を含む)
能登国 のと 石川県
加賀国 かが 石川県
越前国 えちぜん 福井県、(一部、岐阜)
若狭国 わかさ 福井県
山城国 やましろ 京都府
丹後国 たんご 京都府
丹波国 たんば 京都府、兵庫県、(一部、大阪)
但馬国 たじま 兵庫県
播磨国 はりま 兵庫県
淡路国 あわじ 兵庫県
摂津国 せっつ 兵庫県、大阪府
和泉国 いずみ 大阪府
河内国 かわち 大阪府
大和国 やまと 奈良県
近江国 おうみ 滋賀県
伊賀国 いが 三重県
伊勢国 いせ 三重県
志摩国 しま 三重県
紀伊国 きい 和歌山県、三重県東紀州
阿波国 あわ 徳島県
土佐国 とさ 高知県
伊予国 いよ 愛媛県
讃岐国 さぬき 香川県
備前国 びぜん 岡山県、(一部、香川、兵庫)
美作国 みまさか 岡山県(一部、兵庫)
備中国 びっちゅう 岡山県
備後国 びんご 広島県(一部、島根)
安芸国 あき 広島県
周防国 すおう 山口県
長門国 ながと 山口県
石見国 いわみ 島根県(一部、広島)
出雲国 いずも 島根県
隠岐国 おき 島根県
伯耆国 ほうき 鳥取県
因幡国 いなば 鳥取県
筑前国 ちくぜん 福岡県 福岡筑豊地方、北九州地方西部
筑後国 ちくご 福岡県 筑後地方
豊前国 ぶぜん 福岡県 京築北九州地方東部、大分県中津、宇佐市
豊後国 ぶんご 大分県中津、宇佐市を除く大分県
肥後国 ひご 熊本県
肥前国 ひぜん 佐賀県長崎県
壱岐国 いき 長崎県壱岐島
対馬国 つしま 長崎県対馬島
日向国 ひゅうが 宮崎県、(一部、鹿児島)
大隅国 おおすみ 鹿児島県
薩摩国 さつま 鹿児島県
琉球国 りゅうきゅう 沖縄県

五畿七道[編集]

区分 読み 国名(県名)
五畿 ごき 大和国、山城国、摂津国、河内国、和泉国
七道 しちどう 東海道、東山道、北陸道、山陽道、山陰道、南海道、西海道
東海道 とうかいどう 伊賀国、伊勢国、志摩国、尾張国、三河国、遠江国、駿河国、伊豆国

甲斐国、相模国、武蔵国、安房国、上総国、下総国、常陸国

東山道 とうさんどう 近江国、美濃国、飛騨国、信濃国、上野国、下野国、武蔵国、陸奥国
北陸道 ほくりくどう 若狭国、越前国、加賀国、能登国、越中国、越後国、佐渡国
山陽道 さんようどう 播磨国、美作国、備前国、備中国、備後国、安芸国、周防国、長門国
山陰道 さんいんどう 丹波国、丹後国、但馬国、因幡国、伯耆国、出雲国、石見国、隠岐国
南海道 なんかいどう 紀伊国、淡路国、阿波国、讃岐国、伊予国、土佐国
西海道 さいかいどう 筑前国、筑後国、豊前国、豊後国、肥前国、肥後国、日向国、大隅国、薩摩国、壱岐国、対馬国

参考文献[編集]